松戸混声合唱団 Matsudo Mixed Chorus

― 演奏会 ―

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― 定期演奏会の記録 ―

2009年12月6日(日)

午後2時 開演

森のホール21・大ホール

松戸混声合唱団第14回定期演奏会

フォーレ レクイエム
オペレッタ 華麗なるウィーンの調べ

指揮:横山 和彦

管弦楽:チャッピーフィルハーモニーオーケストラ

ソプラノ:嶋崎 裕美

テノール:小林 大作 バリトン:黒田 博

オルガン:奈良 英子

合唱:松戸混声合唱団

■主催:松戸混声合唱団 ■共催:(財)松戸市文化振興財団

■後援:松戸市教育委員会/松戸市音楽協会/松戸市合唱連盟/千葉県合唱連盟

プログラム・曲目紹介

フォーレ レクイエム op.48

  1. INTROiT et KYRIE 入祭唱とキリエ
  2. OFFERTOIRE 奉献唱
  3. SANCTUS  サンクトゥス
  4. PIE JESU ピエ・イエズ
  5. AGNUS DEI アニュス・デイ
  6. LIBERA ME リベラ・メ
  7. PARADISUM 天国にて

オペレッタ 華麗なるウィーンの調べ 編曲 稲森 安太己

  • 歌え、踊れ 〜「こうもり」より(合唱)
  • 酒の歌 〜「こうもり」より(テノール独唱・小林大作)
  • 侯爵様、ご冗談を 〜「こうもり」より(ソプラノ独唱・嶋崎裕美)
  • 狩人の合唱 〜「魔弾の射手」より(男声合唱)
  • ただ一度だけ 〜「会議は踊る」より(女声合唱)
  • ウィーンわが夢のまち 〜(合唱)
  • 君こそわが心のすべて 〜「微笑みの国」より(テノール独唱・小林大作)
  • おお、祖国よ 〜「メリーウイドゥ」より(バリトン独唱・黒田博)
  • ヴィリアの歌 〜「メリーウイドゥ」より(合唱)
  • 私はパリジェンヌ〜回想〜高なる調べ 〜「メリーウイドゥ」より(合唱)
  • 乾杯の歌 〜「こうもり」より(独唱と合唱)
  • われら手をとり 〜「こうもり」より(合唱)
  • 舞踊会のワルツ 〜「こうもり」より(合唱)

フォーレ「レクイエム」荘厳なる宇宙観

ガブリエル・フォーレ作曲《レクイエム》とモーツァルト、ヴェルディ作曲の「レクイエム」はこの分野の三大傑作と言われ、演奏機会も多い。

「レクイエム」の語源は、カトリック教会で「死者のためのミサ」典礼の序奏がレクイエム(永遠の安息を与え)という序文から始まるからだという。ヴェルディの「レクイエム」はドラマチックな要素が強調され、死とは恐れるべきもの、忌避すべきものと捉えているが、それに対しフォーレは、死は誰もがいつか必ず迎えるもので、むしろ平安で好ましい出来事と捉えて作曲に取り組んだという。

フォーレは晩年になって「レクイエム」は死の恐ろしさを表現していないのではないかという批評に対して、自分は死を苦痛への道ではなく、幸福への解放、天上での至福への憧れとして感じているのだと述べている。

フォーレの「レクイエム」は万人に共通する死の静寂や平安への憧れ、それらを音楽芸術として、またレンブラントの絵画の世界に溶け込んでしまうような静寂と光の美、そして荘厳なる宇宙観として受け止め、その描写法は類まれなものである。この曲が愛されているのは、彼の自然主義的感性の現れだろう。

カトリック教会の音楽には、構成する歌詞と音楽に伝統的な制約があるが、それら伝統を踏まえつつもフォーレ独自の宗教音楽の世界観をリリカルに表現している。したがって、他の「レクイエム」とは構成がかなり異なっている。とくに最終楽章のイン・パラディズム(天国にて)は他の作品には見当たらない。その美しさ清らかさに、人の心を神聖なる宇宙に溶け込ませてしまう、不思議な力を感じさせる。

この作品は1887年(42歳)の作品で、宗教音楽に関しては、フランス・ロマン派音楽最後の巨匠といわれる。

華麗なるウィーンの調べ

ウィーンナ・オペレッタは理屈なしで楽しく、軽快に、美しい音楽である。音楽の都ウィーンにはウィーン国立オペラ劇場がオペラの殿堂として知られているが、オペレッタ専門劇場のウィーン・フォルクス・オーパー国立劇場やアン・デア・ウィーン市立劇場などがあり、「こうもり」も「メリー・ウィドウ」もアン・デア・ウィーン劇場で初演された。オペレッタは「歌う・演じる・踊る」の基本要素のなかで、陽気なセリフ部分が多く、その時代の出来事を風刺したり、架空的、エキゾチックなラブロマンなどをベースに他愛ない物語を愉快に展開する作品が多く、庶民の身近な「心の娯楽」として親しまれている。

ヨハン・シュトラウス作曲 《こうもり》より

  • 合唱『歌え踊れ』
  • テノール独唱『酒の歌』
  • ソプラノ独唱『侯爵様ご冗談を』
  • 独唱と合唱『乾杯の歌』
  • 合唱『われら手を取り』
  • 合唱『舞踏会のワルツ』

「こうもり博士」とからかわれ、内心苦々しく思っているファルケ博士。素因は友人アイゼンシュタインにあり、仕返しの機会をねらっていた。ロシアの富豪オルロフスキー公爵主催の舞踏会が絶好のチャンス。「こうもりの復讐」劇を企む。招待客には偽名・別人物を装い登場するよう手配。アイゼンシュタインの留守中、アルフレードは彼の妻ロザリンデに“さあ飲みたまえ、いとしい人よ”と<酒の歌>で口説く。舞踏会でロザリンデだけは仮面姿のハンガリーの伯爵夫人に、アイゼンシュタインはルナール侯爵に、召使アデーレは女優オルガになりすます。素顔で互いに初対面だとして社交を押し通すこの物語の滑稽さに注目。現実の自分でない架空の自分を夢想する深層心理をとらえ、物語をコミカルに展開させようとの設定だ。舞踏会の客人たちの大合唱<歌え踊れ>で華々しく第2幕が開幕。ファルケ博士はルナール侯爵に新進女優オルガを紹介。侯爵「あなたは、わが家の召使によく似ている。全く瓜二つだ」。オルガ「何ですって!失礼なことおっしゃって!」彼女は物凄い剣幕で<侯爵様 ご冗談を>と反論。アデーレは主人を客人たちの面前で大恥をかかす。“今宵は楽しく酒の王シャンパンを讃えて乾杯しよう!”<乾杯の歌>の大合唱で宴会は盛り上がり“皆が兄弟姉妹、Duで結び合おう!”<われら手をとり>“皆仲良く睦まじく”と合唱はカノン様式でメロディーが楽しく華やかに次々と重なり合う。フィナーレは大合唱<舞踏会のワルツ>“われらの喜びは恋と酒の祭り”と歌い踊り、円舞曲で陶酔。

カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲 《魔弾の射手》より

  • 男声合唱『狩人の合唱』

17世紀中頃。射撃の名手マックスは射撃大会に優勝しなければ、アガーテとの結婚が許されない。心中不安な彼にカスパールが魔弾を使えと唆す。領主は「あの白い鳩を撃ってみよ」と命令。マックスは魔弾をこめて白い鳩に狙いを定めた。アガーテは「その鳩は私です!撃たないで!」と叫ぶが、魔弾が発射。彼女は倒れたものの、森の隠者から授かった聖なる白バラの冠が守った。マックスは魔弾の秘密を告白、領主は怒り、彼に追放命令。森の隠者は領主に、猶予を与え試練を乗り越えたら2人の結婚を許したらどうかと嘆願し、赦免する。領主の寛大な処置を讃え、森の狩人たちは誇らしく<狩人の合唱>を高らかに歌う。

ウェルナー・リヒャルト・ハイマン作曲 《会議は踊る》より

  • 女声合唱『ただ一度だけ』

稲森安太己編曲

1814年、ウィーン国際首脳会議を風刺して「会議は踊る。されど会議は進まず」と揶揄された。ヨーロッパ各国首脳が華々しく騎馬隊列を組んで集まって来る。高級手袋店のクリステルは首脳が通過すると熱狂して花束を投げ、ロシア皇帝アレクサンドル1世に命中し、彼女は逮捕。皇帝は留置場に出向き彼女の放免を求めた。皇帝とクリステルはホイゲリで楽しく新酒ワインで乾杯。その後突然、彼女の店に皇帝の使者が現れ、皇帝の別荘に案内するという。沿道の人たちはクリステルを祝い、喜々として手を振る彼女を乗せた馬車は皇帝の館へと走る<ただ一度だけ>が歌われる。

ルドルフ・ジーツィンスキー作曲 《ウィーンわが夢のまち》

稲森安太己編曲

ウィーンの街に最もふさわしい音楽、ワルツの中で「ウィーンわが夢のまち」がウィーン讃歌の曲として特に有名。第2次世界大戦前のウィーンで活躍したソプラノ歌手ロッテ・レーマン。1938年、ナチス台頭で時局が悪化する中、アメリカに亡命。1941年、愛するウィーンに寄せる痛切な望郷の念で歌ったこの曲がレコード化され、大ヒットしたという。

フランツ・レハール作曲 《微笑みの国》より

  • テノール独唱「君こそわが心のすべて」

外交官としてウィーンに赴任してきた中国人スー・チョン王子はいつも微笑みを絶やさない。ウィーンの名門伯爵令嬢リーザは王子に夢中で、彼と結婚したが、王子は祖国の宰相に任命され、帰国することに。リーザは一緒に行くことを願い、王子は習慣の違いを心配してためらうが、固い愛で中国へ。彼女は王子の宰相就任式に参列し、女性の地位の低さに驚く。しかも彼の伯父は王子に4人の妻をめとれと強要、白人の女は妻でなく奴隷なのだと罵るが、王子はリーザに対する愛は変わらぬと微笑みを湛え<君こそわが心のすべて>を歌う。

フランツ・レハール作曲 《メリー・ウィドウ》より

  • テノール独唱『おお、祖国よ』
  • 合唱『ヴィリアの歌』
  • 合唱『私はパリジェンヌ』〜『回想』〜『高なる調べ』

稲森安太己編曲

ダニロ伯爵とハンナは恋人同士だったが、貴族と地主の娘との身分違いの理由で結婚は許されず、引き離された。傷心のダニロはパリ公使館に赴任。夜は「マキシム」に入り浸り、酒と踊子たちが祖国のことを忘れさせ、<おお、祖国よ>と歌う。一方ハンナは泣く泣く祖国で結婚したが、8日後には未亡人。莫大な遺産を相続。2人はフランス公使館祝賀会で再会するが、彼女の財産を狙い言い寄るパリの伊達男たち。ダニロは「俺は彼女の財産を狙うような男ではない」と自尊心が邪魔し、ハンナには無関心の素振り。美しく着飾ったハンナは故郷の伝説、森の精ヴィリアと若者の切ない恋物語<ヴィリアの歌>を夢見るように歌い、彼に自分の心中を訴える。ハンナは自邸に「マキシム」の舞台を再現し、彼のお気に入りの踊子たちも招き、刺激的なカンカン踊りで大宴会<私はパリジェンヌ>でダニロの心を引き付けようとする。平穏なひととき<回想>。ハンナはカミーユとは結婚しないと断言。再婚したら遺言により、すべての遺産は相続出来なく私は無一文になると告白。プライドの呪縛から解放され、素直な心になったダニロはハンナに結婚を申し込む。今まで互いに言葉で言い出せなかった熱い恋心が実り、やっと一つに結ばれ、幸せ溢れるワルツの調べ<高鳴る調べ>(唇は黙していても)にいつまでも踊り続ける。

(文・神谷一夫)

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