松戸混声合唱団 Matsudo Mixed Chorus

― 演奏会 ―

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― 定期演奏会の記録 ―

2014年4月13日(日)

午後2時 開演

森のホール21・大ホール

松戸混声合唱団第17回定期演奏会

F.シューベルト スターバト・マーテル D383
思い出の映画音楽

指揮:横山 和彦

管弦楽:チャッピーフィルハーモニーオーケストラ

ソプラノ:平井 香織

テノール:山本 耕平 バス:斉木 健詞

ピアノ:奈良 英子

合唱:松戸混声合唱団

■主催:松戸混声合唱団 ■共催:(公財)松戸市文化振興財団

■後援:松戸市教育委員会/千葉県合唱連盟/松戸市音楽協会/松戸市合唱連盟

プログラム・曲目紹介

F.シューベルト スターバト・マーテル  D383

  • 第1曲 合唱 Jesus Christus schwebt am Kreuze
    イエスは十字架上で血をしたたらせた頭を垂れる
  • 第2曲 アリア(ソプラノ) Bei des Mittlers Kreuze
    十字架にたたずむ母マリアの胸は、剣が刺さるほどに痛い
  • 第3曲 合唱 Liebend neiget er sein Antlitz
    イエスは母に言う、あなたはこの子の母、これは母の子
  • 第4曲 二重唱(ソプラノ、テノール) Engel freuten sich der Wonne
    天使はイエスが死によって母や友に与えた幸せを喜ぶ
  • 第5曲 合唱 Wer wird Zähren sanften Mitleids
    十字架上のイエスを見て涙を流さないもの、黙っていられるものがあろうか?
  • 第6曲 アリア(テノール) Ach, was hatten wir empfunden
    イエスが死んだ祭壇に我々は何を感じるというのだ?
  • 第7曲 合唱 Erben sollen sie am Throne
    彼らは天国の玉座につき、天上には王冠が輝いている
  • 第8曲 アリア(バス) Sohn des Vaters
    父の子よ、あなたの兄弟はあなたとともに天の玉座に上るまで
    苦しまなくてはならない
  • 第9曲 合唱 O du herrlicher Vollender
    主よ、あなただけが私の苦しみを和らげてくださる
  • 第10曲 三重唱(ソプラノ、テノール、バス) Erdenfreuden und ihr Elend
    地上の喜びも悲しみも、エルサレムへの旅人にとっては足元の塵に過ぎない
  • 第11曲 三重唱と合唱 Da? dereinst wir, wenn im Tode
    我々は死の眠りに入るとき、天上で兄弟たちに会えるだろう
  • 第12曲 合唱 Amen, amen
    アーメン!

思い出の映画音楽

  1. 雨に唄えば 〜「雨に唄えば」(1952年、アメリカ)より
    (合唱 編曲:布施美子)
  2. ムーン・リバー 〜「ティファニーで朝食を」(1961年、アメリカ)より
    (合唱 編曲:布施美子)
  3. エーデルワイス 〜「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年、アメリカ)より
    (バス独唱 編曲:布施美子)
  4. 真珠とり 〜「耳に残るは君の歌声」(2000年、イギリス・フランス)より
    (合唱 編曲:木下愛子)
  5. 忘れな草 〜「忘れな草」(1959年、西ドイツ・イタリア・スイス)より
    (テノール独唱 編曲:布施美子)
  6. 愛のテーマ 〜「ゴッドファーザー」(1972年、 アメリカ)より
    (合唱 編曲:布施美子)
  7. I will follow Him 〜「天使にラブ・ソングを…」(1992年、 アメリカ)より
    (合唱 編曲:木下愛子)
  8. 踊り明かそう 〜「マイ・フェア・レディ」(1964年、アメリカ)より
    (ソプラノ独唱 編曲:布施美子)
  9. タラのテーマ 〜「風と共に去りぬ」(1939年、 アメリカ)より
    (合唱 編曲:布施美子)
  10. 夏の日の恋 〜「避暑地の出来事」(1959年、 アメリカ)より
    (合唱 編曲:布施美子)
  11. 慕情 〜「慕情」(1955年、 アメリカ)より
    (合唱 編曲:布施美子)

「スターバト・マーテル」 D383フランツ・シューベルト(1797−1828) 作曲

曲の題名〈スターバト・マーテル〉は、13世紀に生まれたカトリック教会の典礼聖歌の一つで、ラテン語の詩の最初の一行「Stabato mater dolorosa(悲しみの聖母は立ちぬ)」を省略したものです。十字架のかたわらに立つ聖母マリアの悲しみを偲び、苦しみを共にすることを通して、神の恩寵が得られるように祈るという詩で、中世後期に高揚した聖母信仰の頂点をなす名作です。この詩は子を失った母の嘆きという普遍的なテーマに加えて、マリアへの信仰の根強さと芸術性の高い優れた作品であるとことから、様々な作曲家が曲をつけています。ヴィヴァルディ、ペルゴレージ、ハイドン、ロッシーニ、ヴェルディ、ドボルザークなどが作曲した各時代の名作はすべて、このラテン語のテキストによっています。

シューベルトは〈スターバト・マーテル〉を2曲残しています。初めに書いたト長調の曲は1815年(18歳)の4月に、このラテン語の詩をテキストに作曲したもので、聖母への祈りの部分のない演奏時間にして6分という小品です。

そして本日演奏する2曲目にあたるヘ長調の〈スターバト・マーテル〉は、前作の翌年1816年、シューベルト19歳の年の作品です。残された自筆譜に「クロプシュトックのスターバト・マーテル」と記されている通り、同時代のドイツの詩人クロプシュトック(1724−1803)の手になるドイツ語の詩をテキストに作曲したものです。この詩はラテン語の〈スターバト・マーテル〉をドイツ語に翻訳したのではなく、詩人クロプシュトック自身の自由な視点と感性で書かれた詩なのです。

(文・佐々木 昭)

思い出の映画音楽

雨に唄えば - Singin' in the Rain

  • 映画:雨に唄えば(1952年、アメリカ)
  • 作曲:ナシオ・ハーブ・ブラウン 編曲:布施美子

映画制作が無声からトーキーへ移行し始めた頃を舞台とした、ミュージカル映画。人気女優リナの悪声のため困っていた俳優のドンは、ある日歌も踊りも上手い新進女優に出会う。しかし主役の座を譲らないリナ。困った仲間内で相談する中で、吹き替えという名案を思いついたドンが土砂降りの雨の中でこの曲を歌いながら踊る場面は、映画史に残る名シーンとされる。西洋では甲高い子供のような声を「悪声」、深いしっかりした声を「成熟した女性の声」と感じるそうである。

ムーン・リバー - Moon River

  • 映画:ティファニーで朝食を(1961年、アメリカ)
  • 作曲:ヘンリー・マンシーニ 編曲:布施美子

オードリー・ヘプバーン演ずる高級娼婦ホリーが窓辺でギターを爪弾きながら歌うこの曲は、同年のアカデミー歌曲賞およびグラミー賞の3部門を受賞した。BGMとして映画全編に幾度となく流れ、自称小説家とのロマンスを名無しの茶トラ猫と共に彩る。

現在、常磐線北小金駅の2番線発車メロディーとして使われているが、長い旋律のため最後まで聴けることはめったにないらしい。

エーデルワイス - Edelweiss

  • 映画:サウンド・オブ・ミュージック(1965年、アメリカ)
  • 作曲:リチャード・ロジャース 編曲:布施美子

もはや解説の必要もないほど愛され続けているミュージカル映画の代表作と、その中の有名曲のひとつである「エーデルワイス」。本日は斉木健詞さんの独唱でご堪能ください。

「トラップ・ファミリー合唱団」はナチス併合下のオーストリアからアメリカに亡命した実在の家族合唱団。つい先日、2月18日に一家の次女のマリア・フランツィスカ・フォン・トラップさんが99歳で亡くなられたという報道がありました。

真珠とり

  • 映画:耳に残るは君の歌声(2000年、イギリス・フランス)
  • 作曲:ジョルジュ・ビゼー 編曲:木下愛子

原曲はビゼーのオペラ「真珠とり」の中のテノールのアリア「耳に残るは君の歌声(ナディールのロマンス)」 。この映画では、ユダヤ系ロシア人の少女の父親が歌っていた子守歌の記憶として作品全編を通して流される。1927年、幼い少女は出稼ぎに出た父と離別し、自身は英仏で歌手や踊り子として成長。その後ナチスの迫害を逃れてアメリカに渡り父を探すが、父はミュージカル映画事業の重責で体を壊し、病床についていた。

忘れな草 - Non ti scordar di me

  • 映画:忘れな草(1959年、西ドイツ・イタリア・スイス)
  • 作曲:E.デ・クルティス 編曲:布施美子

作曲者は「帰れソレントへ」でも有名なエルネスト・デ・クルティス(1875-1937)。ナポリ民謡の一つとして日本でも長く親しまれている歌曲である。1959年に制作された映画「忘れな草」では、往時の世界的テノール歌手フェルッチョ・タリアヴィーニが、幼い一人息子を連れた父親役として主演し、劇中のコンサートでも甘い美声を披露した。本日の演奏会では、若さあふれる山本耕平さんの独唱でお届けします。

愛のテーマ - Speak Softly Love

  • 映画:ゴッドファーザー(1972年、 アメリカ)
  • 作曲:ニーノ・ロータ 編曲:布施美子

シチリア・マフィア、コルレオーネ一族の家長(名付け親)と、そのアメリカでの勢力抗争を描いたアカデミー賞受賞映画。衝撃的な暴力シーンが多く、たくさんの血が流れる作品であるが、その合間合間に主要人物の家族愛や道義観や心の変化をしめす場面が巧みに折り込まれ、物語の立体感が増している。「愛のテーマ」の旋律はシチリア民謡をもとにニーノ・ロータが作曲したもの。前奏後奏のモチーフは映画全編で流される。

I will follow Him

  • 映画:天使にラブ・ソングを…(1992年、 アメリカ)
  • 元歌:リトル・ペギー・マーチ 編曲:木下愛子

映画のラストで、主人公デロリスが率いる修道院シスターの聖歌隊がローマ法王の御前でこの曲を演奏するので、映画邦題中の「ラブ・ソング」とはこの曲を指すと思われる。 実はこの曲、映画の冒頭ではデロリスがクラブ歌手として歌っている場面があり、そこの歌詞を英語字幕でみると「I love him」となっている。しかし法王の前での歌詞は「I love Him」。 him(彼)がHim(主)になり、俗歌から聖歌へ昇華したのである。

民衆の歌 - Do you Hear the People Sing

  • 映画:レ・ミゼラブル(2012年、 イギリス)
  • 作曲:C.M.シェーンベルク 編曲:Ed Lojeski

1985年のミュージカル「レ・ミゼラブル」を原作として一昨年にミュージカル映画版が制作され、再び記憶によみがえった囚人ジャン・バルジャンをとりまく物語。そのクライマックスである1832年のパリ蜂起の場面で、革命遂行を決意した学生たちと民衆によって歌われるのがこの「民衆の歌」である。映画作品中でもメインとなる曲であり、明日への希望にあふれたこの歌が、エンディングシーンでも改めて盛大に歌われる。

踊り明かそう - I Could Have Danced All Night

  • 映画:マイ・フェア・レディ(1964年、アメリカ)
  • 作曲:フレデリック・ロウ 編曲:布施美子

ヘプバーン主演によるミュージカル映画の大作。もとはジュリー・アンドリュース主演のブロードウェイ・ミュージカルである。ロンドンの下町の花売り娘イライザの余りに酷い言葉遣いが、言語学が仕事で趣味のヒギンズ教授の癇に障り、イライザももっと良い職業に着くために彼の特訓を受けることに。努力の末、教授たちからOKが出たとき、喜び溢れて歌うのがこの曲。本日は平井香織さんのソロでお楽しみください。

タラのテーマ - My Own True Love

  • 映画:風と共に去りぬ(1939年、 アメリカ)
  • 作曲:マックス・スタイナー 編曲:布施美子

アメリカの南部の大富豪の娘スカーレットが、南北戦争で荒廃した中を力強く生き抜いて行くさまを描く「風と共に去りぬ」は、アカデミー賞主演女優賞を始め10部門に輝いた不朽の名作。ヒロインの最後のセリフは、有名な「After all, tomorrow is another day.(結局、明日は別の日なのだから)」。メインテーマのこの曲は映画の中ではメロディだけが使われ、歌詞は13年後に付けられた。日本での映画封切りもその年。

夏の日の恋 - Theme from a Summer Place

  • 映画:避暑地の出来事(1959年、 アメリカ)
  • 作曲:マックス・スタイナー 編曲:布施美子

ラスト3曲メドレーの中間は、「夏の日の恋」の軽やかで懐かしい旋律をどうぞ。作曲者は「風と共に去りぬ」と同じマックス・スタイナー(1888-1971)。この人は名付け親がリヒャルト・ シュトラウスでブラームスやマーラーにも師事したというユダヤ系オーストリアの音楽家で、第一次世界大戦時に渡米。後に「若草物語」「キングコング」「カサブランカ」などの映画音楽や、ミュージカル映画音楽を数多く作曲した、ブロードウェイやハリウッドの歴史のなかのまさに巨匠といえる存在です。

慕情 - Love is a Many-splendored Thing

  • 映画:慕情(1955年、 アメリカ)
  • 作曲:サミー・フェイン 編曲:布施美子

舞台は香港。英中のハーフのハン・スーインは戦争で夫を亡くし研修医として忙しい日々を送っている。ある時、従軍記者のエリオットと出会い、既婚者だと知りながら恋に落ちる。二人の気持ちは固く結ばれ永遠の愛を誓うが、彼は戦地へ赴き帰らぬ人となる。

この曲は映画全編を通じて度々BGMとして流れ、彼の死を信じられない彼女が二人の約束の丘に登る時、「愛は素晴らしいもの!」という歌詞で映画のラストを締める。

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