松戸混声合唱団 Matsudo Mixed Chorus

― 演奏会 ―

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― 定期演奏会の記録 ―

1995年5月6日(土)

午後2時 開演

森のホール21・大ホール

森のホールのオラトリオ『メサイア』全曲演奏会

オラトリオ『メサイア』

指揮:早川 正昭

管弦楽:新ヴィヴァルディ合奏団

ソプラノ:佐橋 美起 アルト:菅 有実子

テノール:吉田 伸昭 バス:小鉄 和広

チェンバロ:植田 克巳 オルガン:榎本  潤

合唱:松戸混声合唱団

■主催:(財)松戸市文化振興財団/松戸混声合唱団

指揮者・共演者の紹介(※指揮者/共演者の写真・プロフィールは演奏会当時のものです)

指揮 早川 正昭

1934年1月7日千葉県市川市に生まれる。戦時中、広島市に住んでいたが、原爆の前年に市川市に戻ったので、被爆は免れた。5歳から独学で作曲を始め、12歳のとき平井康三郎氏に師事したが、東京大学に進学、在学中の作品「管弦楽のための三楽章」が認められたことがきっかけで、東大卒業と同時に東京芸術大学作曲科に入学、作曲を長谷川良夫氏に、指揮を渡辺暁雄氏に師事した。副科として、オーケストラのすべての楽器をマスターし、卒業後は一時期ホルン奏者としてプロのオーケストラでトップを吹くなど活躍していたが、若手の弦楽器奏者達と東京ヴィヴァルディ合奏団を結成、3度のヨーロッパ公演で、原爆犠牲者に捧げる自作品「レクイエム・シャーンティ」他を演奏し、広島の心を伝えるその作品の感動的な大成功により、作曲家としても指揮者としても、一躍国際的な名声を博した。いろいろなジャンルにわたる作品が多数あるが、その内のいくつかはドイツでも出版され、日本よりもむしろ国外で多く演奏されている。

1978年から1年間、文化庁在外研究員として、ドイツ、オーストリアに派遣され、主に古典舞踏(パヴァーヌやメヌエットなどのルネッサンス・バロック時代の舞踏)を研究した。帰国後、皆川達夫氏らと古典舞踏研究会を創立、またテレビ朝日の番組「朝の談笑」に指揮者としてレギュラー出演していたほか、東京都交響楽団や新日本フィルハーモニー等に客演、バロックから現代音楽にわたる広いレパートリーで活躍している。また、バロック音楽、特にヴィヴァルディの研究家としても知られ、訳書なども出版している。現在、広島大学名誉教授、聖徳大学短期大学部教授、新ヴィヴァルディ合奏団指揮者。

ソプラノ 佐橋 美起

故木下武久、故奥村淑子、J.プライスに師事。武蔵野音大卒業、同大学院修了。第5回飯塚市音楽コンクール第1位。練馬新人演奏会優秀賞(第1位)。第55回日本音楽コンクール第1位、増沢賞、福沢賞、松下賞を受賞。第3回BBC主催カーディフ・シンガー・オブ・ザ・ワールド日本代表。NHK若い芽のコンサート、NHKFMリサイタル、NHKニューイヤーオペラコンサート、題名のない音楽会に出演。

国内のオペラでは、ラベル「子供と魔法」に火とナイチンゲール、「ばらの騎士」のゾフィー、日生劇場、オーチャードホールでの「魔笛」で夜の女王、グローブ座の「ファルスタッフ」ではベティ、「後宮からの逃走」ブロンデ、「アポロとヒアシンス」のメリア、「ラ・ボエーム」のムゼッタ、「アラベラ」のフィアカミッリ、「劇場支配人」のマダム・ヘルツ、「カルメン」のミカエラ、二期会オペラ「ポッペアの戴冠」のアモーレ、「ドン・ジョバンニ」のツェルリーナ、「リゴレット」のジルダ、「ヘンゼルとグレーテル」のグレーテルなどで出演。海外では、インスブルック歌劇場での「リゴレット」のジルダでデビューを飾り現在は、ロンドンのENO(イングリッシュナショナルオペラ)と契約しており「魔笛」の夜の女王、パパゲーナ、「ペレアスとメリザンド」のイニョルド、「コシ・ファン・トゥッテ」のデスピーナ、テレビオペラ「フィガロの結婚」のバルバリーナで出演。オラトリオ、ミサ曲では「クリスマス・オラトリオ」、モーツァルトの「レクイエム」、「戴冠ミサ」、ヘンデル「メサイア」、オルフ「カルミナ・プラーナ」、べ−トベンの「第九」、ロイド・ウェッバーの「レクイエム」、マーラー「千人の交響曲」などでソリストを務めている。また、音友ボーカルシリーズ「いま私は…」のリサイタルでも絶賛を博した。今年はニューヨークのカーネギーホールでのコンサート、ロンドンのロイヤルアルバートホールでのコンサートに出演する。

’93年鹿北区文化奨励賞受賞。二期会30期修了時に最優秀賞受賞。二期会会員。室内歌劇場会員。

アルト 菅 有実子

東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。同大学院修了。第62回日本音楽コンクール〔声楽オペラアリア部門〕第2位入賞。第3回川崎音楽賞コンクール第1位入賞、市長賞他受賞。第1回日本声楽コンクール入選、田中路子賞受賞。大学院在学中、芸大定期「バッハ・カンタータ147番」にてアルトソリストを務める他、ミサ曲、オラトリオ、受難曲など多くの宗教作品のアルトソリストとして活躍中。オペラの分野では、二期会「ラインの黄金」フロスヒルデ、「ばらの騎士」オクタヴィアン役などに出演。その他にも「アルジェのイタリア女」イザベラ、「フィガロの結婚」ケルビーノ役にて出演。1992年には、日本演奏連盟オーディションに合格し、同連盟主催デビューリサイタルを開催(東京文化会館小ホール)。NHKFM番組「土曜リサイタル」、「ニューイヤーオペラコンサート」等にも出演。毛利準、朝倉蒼生の各氏に師事。二期会会員。

テノール 吉田 伸昭

東京芸術大学及び同大学院修了、更に、ザルツブルク、モーツァルテウム音楽大学に学ぶ。第6回日仏声楽コンクール第2位入賞(1位なし)。第4回日本声楽コンクール入選、並びに田中路子賞受賞。日本演奏連盟オーディション合格。留学時は、ザルツブルク・フランシィスカーナー教会専属歌手として「1990年ザルツブルク国際モーツアルト週間」にて、ミサ曲のソリストを務めるなど、主に宗教曲の分野で活躍した。

帰国後は二期会「ポッペアの戴冠」、「フィデリオ」、「学生王子」、「ジャンニ・スキッキ」をはじめ、東京オペラプロデュース「ロミオとジュリエット」、東京室内歌劇場「劇場支配人」、「カイロの鵞鳥」の他、カルメン(ホセ)、「ドン・ジョヴァンニ」(オッターヴィオ)、「フィガロの結婚」(バジリオ)、「こうもり」(アルフレード)、「エトワール」(ウフ国王)、さらに台湾にて、台北市立交響楽団主催の「フィデリオ」、「カプレーティとモンテッキ」、「道化師」等オペラ出演が続いている。また、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」、「戴冠ミサ」、ハイドン「天地創造」、ブルックナー「テ・デウム」等宗教曲やベートーヴェン「第九」のソリスト、NHKFM、ドイツ歌曲、フランス歌曲、スペイン歌曲によるリサイタルなど幅広く活躍。最近では、台北市音楽祭「トゥーランドット」、Bunkamuraオペラ劇場「マダム・バタフライ」に出演し、好評を博した。二期会会員。

バス 小鉄 和広

東京芸大及び同大学院に学ぶ。東京文化会館オーディション合格。ロータリー財団奨学生としてイタリアに留学。第24回イタリア声楽コンコルソ・シエナ部門優勝。平成5年度文化庁インターンシップ研修員。第10回ヴィオッティ・ヴァルセジア国際音楽コンクール入賞。

オペラの分野ではすでに「ドン・ジョヴァンニ」のレポレロ、「魔笛」のザラストロ、「フィデリオ」のロッコ、「イル・トロヴァトーレ」のフェルランド、「アルバート・へリング」の警察署長、「夕鶴」の惣ど等多くのバスの主要な役を歌う。また今年4月にオーチャードホールで演じた「蝶々夫人」の僧侶の役で、今秋マカオに客演の予定である。オラトリオ等ではハイドン「天地創造」、ロッシーニ「小荘厳ミサ曲」、ドヴォルザーク「スタバト・マーテル」に出演したほか、今年1月には日本フィルの定期演奏会においてベルリオーズ「キリストの幼時」のへロデ王を歌い注目された。その他、NHK・FM放送でのリサイタル、国内及びイタリアでの演奏会等でもステージを重ねつつある。二期会会員。初音舎会員。東京室内歌劇場会員。

管弦楽 新ヴィヴァルディ合奏団

弦楽合奏の美しさ、バロック音楽の楽しさを、沢山の人に聞いてもらいたいという目的で1979年に東京ヴィヴァルディ合奏団のトップメンバーを中心に結成された。レパートリーはバロック音楽だけでなく、モーツァルトも得意としており、管楽器を加えて戴冠ミサやレクイエムの伴奏をすることもある他、ロマン派音楽や日本人の作品をはじめとする現代音楽の紹介にも力を注いでいる。その上、早川の作編曲したバロック風「日本の四季」や日本民謡、ポピュラーナンバー等が、弦楽合奏の良さを、老若男女を問わず多くの人々に知ってもらうという目的のために用意されており、硬軟いずれのプログラムでも常に最高の演奏で対応できる強みからも、この種の団体の中で、最高の人気を得ている。普段は、ヴァイオリン7名、ヴィオラ2名、チェロ2名、コントラバス1名の弦楽器群にチェンバロを加えた13人で演奏活動を行っているが、今日のような曲目の場合、管楽器・打楽器・オルガン等を加え、弦楽器も増員して演奏する。

新ヴィヴァルディ合奏団は、常任指揮者の早川正昭が、バロック音楽の研究家でもあることから、バロック音楽を演奏する場合、普通の合奏団とは少し異なった演奏法を用いている。当時の様式に基づいた演奏、例えば、トリルの扱い方などは当然のことであるが、リズムのくずし方などは一般の人が殆ど気付かない程度の微妙なものであり、それによって、自然にバロックらしい味わいが出てくるが、それだけでなく、例えば、弓の持ち方を工夫して、当時の音色に近付けたり、中全音律による各調性の個性を出すことを意図したり、和音では純正調の音程をとることによって、驚くほどの美しさを再現しているのである。

オリジナル楽器を使わなくても、名手であればバロック時代の音を出すことができるとアーノンクールも言っており、バロック時代に作られたが、現代の広い会場で通用するように改良された名器を持っているメンバー達が目指しているのも、広い会場でたっぷりした音量で、作品のそれぞれの時代にふさわしい音色と演奏様式を再現することなのである。メンバーの殆どがグワルネリ等の1600〜1800年代にイタリアで作られた名器を用いており、これだけ良い楽器が揃っている合奏団は世界でも珍しい。そして、それらを駆使した美しい音色と撤密なアンサンブルは断然他を圧しており、出版されたレコードやCDも各誌で推薦盤になるなど非常に好評で、今後も日本の室内合奏団の主導的地位を占めつつ、クラシック・ファンの拡大に大きな貢献をするものと期待されている。

チェンバロ 植田 克巳

東京芸術大学ピアノ科、同大学院卒業。チェンバロは小林道夫氏に師事。ヴィヴァルディ合奏団ヨーロッパ公演に参加。デトモルト音大、ベルリン芸大に留学。1977年ロン・ティボー国際コンクール第2位入賞。帰国後は国内各オーケストラと競演。1986年より「植田克巳ベートーヴェンシリーズ」を開催。現在東京芸術大学助教授。

オルガン 榎本  潤

国立音楽大学大学院修了。在学中、東京イイノホールでの「フレッシュコンサート」でモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏、ピアニストとしてデビュー。’91年3月、日本ピアノ教育連盟の「第6回ピアノオーディション全国大会」で入賞。母校である千葉県立千葉東高等学校音楽部の指揮を務め、「第45回全日本合唱コンクール全国大会」初出場で銀賞受賞、合唱指揮者として注目を浴びる。’93年新しい試みとしてクラリネットの赤坂達三氏、ヴァイオリンの森下幸路氏と共にトリオ・シアターを結成、NHK/FMに出演、国内でも大変珍しい編成のトリオとして各地で演奏活動を始めている。’94年3月、東京ゾリステンのチェンバロ奏者として第3回ヨーロッパ公演に参加。6月にソロ・リサイタルを開催、絶賛を博す。ピアノをダン・タイ・ソン、ペーター・ラング、柳川守の各氏に、ピアノ、チェンバロ、室内楽等を小林道夫氏に師事。小林道夫氏との共演は富みに多く、ヴァイオリンの古澤巌氏、フルート奏者の工藤重典氏、宮本明恭氏をはじめ全国各地にて著名アーティストと共演。’95年には、錦織 健&足立さつきコンビとの公演が各地で決定するなど、幅広い分野にて意欲的な音楽活動を展開している。現在、国立音楽大学大学院嘱託ピアニスト、千葉県立千葉東高等学校音楽部委託講師、松戸混声合唱団ピアニスト。

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